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いつやる?【リブランディング】に企業のブランド再生を託す

2021.09.25

リブランディングの概要説明は、
弊社オフィシャルサイトの本稿で取り上げていますが、
このブログで語るリブランディングは、もう少し細部にわたって踏み込み、
リブランドの母体となるブランド、さらにはCIの正体をあぶり出し、
リブランディングの本質に迫っていきます。

1. リブランディングの見方・あり方

01. 『リブランディング』と『リブランド』の使い分け

知っているようで、意外と知られていない、
「リブランド」と「リブランディング」の使い分けについて、明確にしておきたいと思います。
まずその元になる「ブランド」と「ブランディング」ですが……

ブランド 顧客の視点 利用者や顧客の視点で、ブランド商品・サービスとして、また企業そのものがブランドとして識別・差別化され、認知されていること、並びにその一般概念
ブランディング 提供企業の視点 利用者や顧客に対し、提供企業が差別性・独自性のブランド商品・サービスとして、また企業そのものをブランドとして認知・浸透させるためのマーケティング活動

この両者の関係と同様に、

リブランド 顧客の視点 再構築された当該ブランド(企業、商品・サービス)に対し、利用者や顧客が再認知、再評価すること、並びにその一般概念
リブランディング 提供企業の視点 既存ブランド(企業、商品・サービス)に対し、利用者や顧客に再評価・再定着させることを目的に商品・サービスの再構築を図り、それを認知・浸透を図る企業のリマーケティング活動

当記事では、提供企業側の活動のあり方を目的としますので、
リブランディング」、つまり提供企業の視点で、語っていくことになります。
記事中には「リブランド」の顧客視点の表現も随所に出現しますが、
これはいずれに属するでもない、リブランドを広義で捉えた「一般概念」です。(上記表中でも言及)
また“リブランドする”と言えば、“=リブランディング”とおわかりいただけるでしょう。

ただ当記事は、この両者を厳密に使い分けしていないこともしばしばです。
まァ、学術記事では無いためご容赦ください。

02. リブランディングの主体は企業?製品?サービス?

リブランディングの主体は「企業」であり、「製品」であり、「サービス」です。
それは当然ですね、既存ブランドを再構築し、市場で再評価させるわけですので、
企業ブランドの再構築、
製品(商品)ブランドの再構築、
サービスブランドの再構築

このようなカタチでそれぞれが成り立つわけです。

これらリブランディングの機会は後ほど詳しく説明しますが、
リブランディングを行う主体は、製品であれ、サービスであれ「企業」が主催ですので、
この記事全般を企業リブランディング、或いはその付随要件として扱っていきます。
一部で矛盾や不整合もありますが、そこは臨機応変の対応とします。

03. 実はWebもリブランドする対象

Webもリブランドする対象です。
例えば有名ECサイトが全面リニューアルと共にサイト名も刷新!となると、
その知名度、認知度を誇る業界トップブランドとすれば、
最早その時点で単にリニューアルの域を超え、
サイトリブランド」と捉えて再構築すべきでしょう。

ECサイトやメディアとしてのWebが企業のサービスラインの一つと捉えれば、
当然のことと言えますね。

2. 『変化』の起点がリブランディング

01. 企業だけでなく環境・社会の変化も

このリブランドは、要約して言うと「変化」がその実行動機になります。
その例外もありますが、やはり企業を取り巻く様々な事象の変化を巧みに捉え、
そこをどのような戦略の下に、
ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を投入し、
それら4要素に続く第5の企業資産、つまり「ブランド」をいかに再定義するのか?
ということが言えると思います。

例えば、

  • 技術革新という大きな潮流の変化に、事業戦略の大転換を迎える
  • 消費者の嗜好変化で老舗の存在が薄れ、商品設計や販売チャネルの根底を見直す
  • 規制緩和による大幅な投資により、積極的成長戦略に打って出る

などいずれも環境や社会の変化が起点となり、
その結果リブランドの実行に着手するというものです。

02. 「資産の衣替え」もリブランディング

またこのリブランドは、前項の例のように、企業経営や事業戦略に直結し、
中長期の視野でサバイバルを賭け、新たな軌道を構築する志があります。

また一方で、これまで脈々と築き上げてきたブランド資産だが、
陳腐傾向が見えてきたそのブランドの「衣替えをする」、
というように、ブランドイメージの一新をすることも、
十分リブランド実行機会のひとつと言えるでしょう。

ところが、この「衣替え」と言っても、
そこはやはり企業の資産に何らか変化を加えるわけですから、
企業サイドではリスクとも裏腹だということをしっかり自覚しておく必要があります。
必ずしもそれが立て直しへの貢献やV字回復につながらない想定違いもあるでしょう。

それだけに事前のマーケティング調査・分析の精度が求められ、
その一環でリブランドの実行に伴うアセスメントも重要な要件となります。
その評価によっては、リブランドの実行範囲・レベルを調整することが必要でしょうし、
場合によっては、リブランドしない選択肢もあるでしょう。

3. “ブランド”と“CI”はコア要素

01. リブランドにはCIも脈々と存在

企業のリブランドを行う対象は、「企業ブランド」の要素に加え、
「CI」もその主要素になります。
むしろ、ブランドのDNAとしてCIが存在し、
当然リブランドにも脈々とこのCIが生き続けることとなります。
以下の図でブランドとCIの関係を大まかに掴んでください。

02. 規模や要件に囚われない相対価値『ブランド』

ここで一旦、リブランドの前提となるブランドに触れておきます。


ブランドの持つ魅力とは、発信する側でなく、受け手であるステークホルダ-側に醸成されるもの。
市場において企業の魅力、製品力、サービスの強みなど、競合や他社と相対的な「差別的優位性」を創出し、その状況を市場に浸透させ、かつ強い共感を得ることができれば、価格やスペック以上に、「その企業のモノやコト」が選ばれる理由になる。
これが企業の無形資産として確立され蓄積され、広く社会の中のステークホルダーに認知させていく企業活動。


このブランドとはもちろん狭義のブランド商品だけではなく、
モノやコトに宿る相対的な普遍的価値が市場に浸透し、
顧客やユーザーに強い支持を受けている企業活動も立派なブランディングです。
もちろんブランドはメガである必要はなく、規模の大小では無いレベルで、取組む価値は絶大です。

03. 市場や環境に影響されない絶対価値『CI』

次にリブランドのコア要因の一つ、CIにも触れておきます。


「企業の理念・哲学や企業文化、事業ドメイン、目指すべきビジョン、またその独自性や価値観など、企業が持つ普遍的、本質的要素について、企業イメージとして統一的なデザイン、メッセージで表現し、社内を含め様々なステークホルダーに発信しながら、それを企業と社会とで共有し、自社の存在感を高めていく企業戦略」。一般的に、CIと言うとロゴマークづくり、と思われている傾向。これは決して間違ってはいないが、あくまでもその根底には、企業の理念、行動ビジョンが存在し、それを可視化し、象徴とするためにビジュアル化したものがロゴマーク。


04. リブランドはブランド・CIの異質物を一体化

一点ここで、明らかにしておくことがあります。
本来このCIはブランディングとは一線を引くものです。
対外の相対評価を追求するブランディングに対し、CIは企業自体、内向きの絶対価値を表すもの。
ただこの異なる属性を持つ両者でも、ブランディングはCIを基盤として構成するため、
ブランドの根底には、必ずCIが脈々と生き続けているのことに起因します。
やはりブランドに主催となる企業のスピリットが無いことは、
言わば“魂の無い仏”のようなものだからです。

以降の説明では、ブランディングとCIが混在した表現になることもありますが、
このような根拠だと捉えていただきたいと思います。

4. コア要素は普遍で“衣替え”

01. 本質を表す「資産の衣替え」

さて前述した「資産の衣替え」というのは言い得て妙で、
まさにその本質をズバリ表していると言えます。
つまりそれが企業であれ、製品やサービスであれ、
そのコアに存在する要素は普遍であることが前提となります。

ここでは再構築する要素を企業ブランドに置いて、少々説明を加えたいと思います。

02. 鍛え育まれた“体幹”はしっかり存続

簡潔に言ってしまえば、リブランドは根底となるコア要素まで再構築するのではなく、
企業や製品・サービスの本質的アイデンティティとなる体幹は普遍のものとして、
しっかり存続させておくべきものです。

企業を例にとってみます。


ある医薬品メーカーが従来医療用医薬品メーカーとして新薬開発に従事してきたが、
ある医薬品を開発したことにより、大衆医薬品でのシェアが高まり、
企業の成長性から経営資源を大衆薬へシフト、大幅な事業再編を行った、とします。
病院・医師経由の供給ではなく、ドラッグストア経由のチャネルに転換。
またとないリブランドの機会ですね。特に大衆薬ですので、エンドユーザーにダイレクトに認知される必要から、抜本的リブランドの機会でしょう。
この場合、
この企業の根源的要素である医薬メーカーとしてのドメインは医療用でも大衆向けでも普遍です。
また例えば医薬を通じて健康・公衆衛生への社会貢献としていれば、CIの企業理念やアイデンティティも普遍です。このようにコア要素はしっかり存続されています。


製品リブランドも例にしてみます。


ある食品製造業の長寿主力ブランドが、消費者の嗜好変化と競合の追い上げで、ここ数年シェア下落に甘んじていたが、成分や味の改定に伴い全面刷新、シェア奪回作戦に打って出た。
いわゆる製品リブランドです。製品ロゴ、キャッチフレーズ、パッケージデザイン、広報手段としてTV-CM、新聞・雑誌広告…を投入するでしょう。
これも成分や味は嗜好に合わせたが、基盤となる製品コンセプト、消費ターゲットや販路等の要素は変わることは無い。つまり市場で競合他社品からの乗り換え促進による、まさにシェア奪回作戦です。
似通った製品でも、開発コンセプトやユーザーターゲットが変わってしまえば、これは「新製品」となり、リブランドの対象ではありません。体幹となるマテリアルが変ったためです。ここはしっかり区別します。


いかがでしょう?
両者とも体幹部分は一切手をつけていません。

03. やはりリブランドの出番はブランドの変化

どのような企業ブランド、製品・サービスブランドでも、
順風満帆、必ずしも永遠にわたる右肩上がり成長は約束されておらず、
紆余曲折、逆風の事態にも晒されたりで、
この変化に何らかの手当をしなければ、
厳しい市場環境のサバイバルゲームから脱落を余儀なくされます。

つまり乾坤一擲!ここでリブランドの出番となるのです。

5. リブランドを実行する機会

01. リブランドする変化要因は多種多様

さていよいよリブランドを実行する出番ですが、
はたして、それは変化がその機会であることを度々述べてきました。
それを一覧にまとめてみました。

変化の要因 現 象 対 象
売上・シェア減少 老舗ブランドのリベンジ 企業・製品
市場・競合状況の変化 競合のシェア拡大、ベンチャーやスタートアップ企業の追従、市場のレッドオーシャン化 企業・製品・サービス
トレンド・流行 顧客の嗜好変化、ニーズ、意識変化 製品・サービス
技術革新 自社製品・サービス自体の革新、市場の製品・サービスの革新 製品・サービス
事業再構築 M&A、合併、HD化、IPO、上場廃止、株式市場転換 企業
事業承継 世代交代、社長交代 企業
飛躍・成長戦略 長期事業戦略、事業多角化、商圏拡大、海外戦略、チャネル拡大 企業
事業変化 事業転換、事業拡張、事業多角化、移転 企業
社名変更 社名変更を先行(リブランドの結果の社名変更ではなく) 企業
顧客の変化 顧客層の変化、チャネル転換、顧客嗜好変化 製品・サービス
法改正・規制緩和 追風のビジネスチャンス 企業・製品・サービス
創業・周年 単に周年記念だけでなく、ここを起点にリブランドで再構築を図る 企業・製品・サービス
人材採用 リクルート活動強化 企業
情緒的変化 再生、飛躍、成長、起死回生、心機一転、サバイバル 企業・製品・サービス
アクシデント・社会事変 企業の不祥事や会社更生からの再起、パンデミック、災害 企業・製品・サービス
Web・メディア刷新 知名度や存在感の高いECサイトやブランディングサイトは、既に企業資産のポジションを獲得しており、単にリニューアルの域を超え、「資産の衣替え」と言える サービス

02. “心機一転”“捲土重来”で企業再生の機会

こうまとめてみると、それなりに多いことがおわかりいただけると思います。
またここに列挙した「変化の要因」がリブランドに適した機会がどうか?
というかどうかを議論するより、その範囲や深さ、個別の要因により、
リブランドすることが企業にとって“心機一転”“捲土重来”、
さらに“起死回生”というは少々ラジカルですが、それが企業の意思決定となれば、
その動機は尊重されるべきでしょう。
脈々と築いてきた企業価値、経営資産に、内的・外的変化により、
何らかの軌道修正をするわけですので、
実は企業にとっては、良くも悪くも企業の再生を託す機会だと、
この一覧を見ると感じられることでしょう。

ではこれらの変化に伴うリブランドの何を、どこを、どのように変えるのでしょうか?

6. リブランドで再構築する要素は?

01. “ブランド”を構成する要素

ではリブランドを行う上で何を再構築するのか?
前述の通り、ブランドは「“ブランド”と“CI”がコア要素」ですが、
ここで一旦、ブランドの構成要素を捉えておく必要がありそうです。
リブランドを行う淵源となる「ブランド」を、以下のように分解してみました。

ブランド構成要素
ブランド CI
ブランドパーソナリティ 独自性・個性・差別性 MI|理念の統一
(マインド・アイデンティティ)
使命|ミッション
理想|ビジョン
価値|バリュー
ブランドターゲティング 市場・顧客
ブランドポジショニング 業界マーケットにおける属性・競合比較・存在の定義
ブランドアソシエーション ブランドイメージ・連想
ブランドプロミス ブランドポリシーの約束 BI|行動の統一
(ビヘイビア・アイデンティティ)
ブランドアイデンティティ ブランド理念の統一性 VI|視覚の統一
(ヴィジュアル・アイデンティティ)

この表中で左側の“ブランド領域”は領域内右側の説明で概ねご理解いただけると思いますが、
もう少し説明を加えて見ます。

このブランドの構成要素は、実は様々な議論や定義があり、
マーケティング系の学者・研究者、経営コンサル企業、ブランド支援ベンダーなどによって千差万別。
ここでは弊社が唱えるブランド構成要素に沿って説明を加えます。


●ブランドパーソナリティ
ブランドとして最も重要な企業や製品・サービスの独自性、固有の特徴を定義するものです。
競合他社との違いを明確に打出し、存在の差別的優位性を社会・市場・顧客の誇示するものです。


●ブランドターゲティング
対象業界やターゲット市場における企業ブランド、製品・サービスブランドを、BtoBであれば明確な業種・業態レベルで、
またBtoCであればペルソナレベルでセグメントし、定義することです。


●ブランドポジショニング
企業、製品・サービスを業界で、自社の特徴、製品・サービスの強みなどを指標として、
品質、価格、シェア、頻度・量、日常・非日常など、
様々な指標や定義する要件、
どの領域、業界の競合他社と相対的にどこのポジションを目指すのか?
マトリックス分析で明確にポジショニングを定義するものです。


●ブランドアソシエーション
ブランドのアソシエーションとは、ブランドイメージによる連想を意味しますが、
ターゲットとする市場の顧客やユーザーに、企業であれば、自社をどのうように見て欲しいか?
製品であればその存在をどのように位置付けて欲しいか?
つまり企業、製品・サービスから、ターゲットととする顧客やユーザーに、
何を連想してもらいたいか、前述“パーソナリティ”や“ポジショニング”で定義された要件に対し、
明確なアソシエーション=連想を意図的に持たせるものです。


●ブランドプロミス
このブランドで定義された様々な要件を、社会、市場、顧客、ユーザーに対し、
一切妥協を許さないレベルで、約束を果たす姿勢を示します。


●ブランドアイデンティティ
同様にブランディングによって定義された理念要素、視覚要素、言語要素を統一見解で表す指針です。
一般的には、ブランドロゴ、ブランドキービジュアル、ブランドスローガン、ブランドメッセージ……
その他様々ありますが、全てにわたって揺るぎなくそのスピリットを統一させるものです。


以上ですが、そういう意味では、
次項のCIはどのようなお偉い様でも、そこには揺るぎがなく、
確固とした普遍の定義が存在します。
そういう意味でも、CIはブランドの最重要ファクターをその根底に備え持つのです。

02. “ブランド”を構成するCIの要素

では次にCIの構成要素として、
まずもって【MI・BI・VI】の大きく3要素で構成されています。

  • 【MI】マインド・アイデンティティ|「理念の統一」
  • 【BI】ビヘイビア・アイデンティティ|「行動の統一」
  • 【VI】ヴィジュアル・アイデンティティ|「視覚の統一」

●MI|理念の統一
企業の目指すべき理想や、社会の中で存在意義を表す企業理念です。
企業経営における根源的な考え方を定めた経営哲学、社是、行動指針・行動規範、スローガン等を示します。
これを明確に定義すると、
ミッション・ビジョン・バリューで構成されます。

ミッション 果たすべき使命 ミッションは企業の果たすべき使命として、社会の中で理想を追求する企業理念の中核を成します。
ビジョン 実現したい未来 企業として目指す理想、実現したい未来像から、企業のあるべき姿、目指す方向性を表すもの
さらに自らの事業やビジネスを通じ、社会に貢献するビジョンを示す
バリュー 約束する価値 企業が提供する製品やサービスの強み、独自の価値、これらを市場や顧客に提供することを約束するもの

●BI|行動の統一
前述MIの企業理念や経営哲学などを実現するための方策です。
つまり理念や哲学をどのように実現させるか。
どのような事業領域で、どのような戦略・戦術に基づき、
それをいつまでに、どれほどの経営規模を目指すのか?
経営目標を達成させるための経営事業ビジョンを、定量・定性が表します。

●VI|視覚の統一
これらMIとBIで策定された統一の指針を、視覚的象徴に込めて表します。
つまり企業ロゴですが、それを始めとし、実現する企業の視覚の統一要素はそのほかに、
ロゴタイプ(社名書体)、キービジュアル、ブランドロゴ、コーポレートカラーがこのVIの範疇に入ります。

03. 『普遍要素』は変えない

「リブランドで再構築する要素は?」の結論が、少々遠回りになりましたが、
既存ブランドのどこを見直しするのか?
その反面で何を見直してはいけないのか?
下図の通り、おおよそ以下の通りの仕分けとなります。

●普遍要素《変えない要素》
ブランドのコア要素となるCI要素には原則手を触れません。
前述したようにリブランドと言うブランドの衣替えをする場合、
体幹となる要素は存続する、と申し上げましたが、まさにこの体幹がブランドのコア要素。
逆に言うと、この体幹を変えることは企業の本質を変えることになるため、
原則ここを変えるリブランディングはありません。

●準普遍要素《一部で変えていい要素》
主にブランド領域の要素が「準普遍要素」、一部変えていい要素がこの対象となり、
言わばリブランドする上では、最もその中心となる要素だと言えます。
そのほとんどがブランド領域の要素で占められますが、リブランディングとしては、
自社の変化に加え、競合や顧客、市場環境などの変化による外部要因や、
マーケットと直接接している要因ですので、
そこで強化を図る、リフレッシュさせる、高みを目指す等、
一部でその概念や仕様の再構築、改定によりリブランド効果を促進します。

●再構築要素《変える要素・変えていい要素》
企業リブランドの中でも顧客や市場と直接接する製品やサービスは、
リブランドとして大きく再構築する要素となります。
またスローガンやアイデンティティ(統一概念)等の要素も、変えていい要素の一つです。
決定付けられ、定義された要件に沿って、
言い方変えると、時事刻々と変化を遂げる市場・競合、顧客に巧みに適合させ、
マッチングさせる意味でも、この再構築要素は、むしろ積極的に変えていく要素とも言えます。

ここで言うアイデンティティは、
新たに策定されたロゴやコピーなどの概念や視覚の統一を意味します。

7. リブランドのクリエイティブと広報手段

01. リブランドのアイデンティティ

当記事の終盤になってきました。リブランドの概念や企業が再構築をする機会を述べて来ましたが、
リブランディングの証としてビジュアライズされ、「変える要素」として市場や顧客に最も認知、浸透させる概念統一から視覚の統一、つまりアイデンティティをクリエイティブで表現します。


●ロゴマーク
リブランドで視覚統一により、社会やマーケットに最も認知を図るに適したクリエイティブ要素です。
企業リブランドとして企業ロゴマークは、再構築された企業ブランド・CIの新たな象徴として浸透を図ります。


●ブランドロゴマーク
省略してブランドメークとも言いますが、ロゴマークが企業アイデンティティであるのに対し、ブランドロゴマークは製品やサービスのリブランドによってリニューアル、リファインするものです。


●コーポレートロゴタイプ
企業のオリジナル社名書体です。これもリブランドによって一新させる対象要素となります。あり物のフォントでの社名表記からリブランドを境に、作字によるタイプフェイスのオリジナル化を取り組みたいものです。


●ブランドロゴタイプ
エンドユーザーや消費者の接点となる製品・サービスは、その再構築により、視覚的露出が高いこのブランドロゴの再クリエイティブは、リファインされた製品名・サービス名の視覚から記憶に直結するため、リブランドの重要なコンポーネントとなります。


●コーポレートスローガン
リブランドしたコンセプトの社内浸透を図ること、また市場や顧客への認知を図るため、新たなコーポレートスローガンを、具体的な主張、わかりやすい言語にして発信するものです。リブランドのコア要素の言語化として、重要なコンポーネントを成します。


●タグライン
単語の組合せ、短いセンテンスでリブランドの主張を発信する簡潔なメッセージです。その性質からリブランドしたロゴやマークと共に一体使用することで、その効果を流布しやすくなります。アニバーサリーをリブランドの機会とした場合、「50th!次の半世紀に再始動。」など、周年ロゴやタグラインを絡めたビジュアライズが有効です。前出コーポレートスローガンよりも、もっとフロントとなる社会・市場でエンドユーザーを意識したブランドメッセージの一環です。


●ブランドメッセージ
前出コーポレートスローガンの製品・サービス版とも言えるものです。市場やエンドユーザーに近い製品・サービスは、リブランディングの中でも特に主力製品・サービスの場合、必須要件となるでしょう。


●キービジュアルイメージ
再構築したブランドイメージを、具体的な、或いは抽象的なイメージでリデザインするものです。リブランドにより変わったブランドイメージとしてデザイン定着を図ります。


●コーポレートカラー
リブランディングで再定義された要件の中で、企業の色彩戦略を見直すものです。一般のリブランディングでは、現状のコーポレートカラーを調整する程度が多いですが、ドラスティックに変化させるケースもあります。


●ブランドカラー
リブランディングの中でも特に製品・サービスで再定義された要件の中で、製品・サービスのコンセプトカラーを見直すものです。


02. リブランドの広報手段

このリブランド、市場では知らないうちにいつかなされていた、というのが意外と多いことに気付かされます。特に中小企業やBtoB企業においてはその傾向があります。
内うちで周知されただけ、関係者に告知したのみ、ということではビジネス効果、経済効果は限定的です。それは織り込み済み、というリブランドのポジショニングであれば、それはそれでいいでしょう。
ところが一定レベルでリブランドの機会をマーケットや顧客に周知させたい、という要望がありながら、浸透どころか、認知さえうまくいってない……
これでは一念発起、心機一転の機会が不発に終わってしまい、再起を賭けたターニングポイントたる効果も期待できません。
ここではリブランディングの広報で効果的と思われる広報手段を列記してみます。

ターゲット メディア 摘 要
社内・社員 ブランドブック リブランドのコンセプトや主張の社内徹底を図る
CIマニュアル CI要素で再構築した箇所をマニュアル更新
クレド 再構築された「スピリット」をクレドとして再発行
社内報・イントラ情報 特集・トピックとして社内周知を図る
ポスター・パネル 本社・支社・工場等各拠点に掲示して浸透を図る
ステークホルダー コーポレートサイト 最もリブランド認知を図る広報メディア
ブランド専門サイト リブランドの専門サイト、動画を交えると効果的
ブランド動画 Web再生、YouTube等で活用
会社案内 リブランドで刷新
ブランドガイド リブランド専門誌をパンフレットとして制作
広報誌 顧客や取引先への周知を図る
キャラクター 企業キャラクターとしてシンボライズ・広告塔
名刺・封筒・社旗・社章 企業広報物の刷新
包材・パッケージ 製品リブランドの場合、関係資材を一新
広告 Web広告 Webメディアでのバナー広告
新聞・業界誌広告 業種や企業規模によって出稿先を選定
交通広告・OOH広告 公共交通最寄駅のOOH出稿

8. まとめ

ブランドやCIというのは、一度策定したら、未来永劫にわたり変わることのないもの、
と捉えていた方々も多いのではないかと思います。
それは企業内において、常にその存在や規定を忠実に守ってきた証でしょう。

ブランドの意識が薄いと言われたニッポン企業ですが、
意外と言われるほど無頓着ではない、むしろ厳密に管理している企業の多さを感じます。

しかしながら、あまりそこに固執するがゆえに、ターニングポイントや、
気分を一新して仕切り直しする、といった柔軟で弾力的な発想に行き着かず、
もしかすると、大きなチャンスを掴み損ねている企業もあるかもしれません。

ぜひとも当記事をご覧になって、何か自覚症状があるなァ、とか、
そうか!ウチもこの機会を利用してリセットし、何かの刺激策になれば!
などといったことにつながれば幸いです。

リブランディングで新たな世界を目指す起点にしてください。


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